「ジル・ド・レイ」
ともる / 神威がくぽ （sm16052194）
＊＊＊
永き戦乱に国も民も荒み
道ばたの陰 鎌を持ちさまよう
憂いし神が 零した言霊を
裸足の娘 細き手で持ち来る
時代がこれを 戯れ言と笑うなら
この命かけて 奇跡を守ろう
挑む道 誓い立て
二人手をとったオルレアン
「魔女を殺せ」「魔女を殺せ」
地の底まで突き刺さるような
祈りを捧ぐ 十字の杭が
何故そこに立つのだ
「神よどうか」「神よどうか」
あがる悲鳴 君か俺のか
赤く染まり 黒く消えゆく
綺麗な顔が 剥がれてく
百歳（ひゃくとせ）の末
訪れし時代に
道ばたの陰 鎌をなくし消える
祝いし民は 教会に集まり
裸足の娘 細き手は何処に
透き通り舞う髪 絹のような肌
薄い唇 海のような瞳
細き指 跳ねる喉
全てこの身が覚えている
「神よ殺せ」「俺を殺せ」
それが出来ぬというのなら
貴様と同じ 力を手にし
彼女に祝福を
怒号の黒 紅蓮の赤は
人に宿りし罪の色か
染めたる身と 命をかけて
奇跡を守る もう一度
ああ、最後の審判（ひ）に
君は必ず救われるから
ああ、その日まで
安らかに安らかに 眠ってくれ
神は殺す 俺を殺す
人の業をこの背に植えて
あなたと同じ 杭の痛みに
安らぎすら覚え
神は呼んだ 我が名を呼んだ
この身遣わされたる理由
犯した罪の 全てを背負い
彼女に祝福を