「地下の呼吸」
No.D / 神威がくぽ (sm15153800)
***
淀んだ空間に苛立ち充満
数え切れない人の群れ
忙しそうに時計見下ろし
遅れに眉寄せる不寛容
何も語らずに身体を預け
俯き祈るように目を閉じる
頭上で揺れている雑誌広告が
騒ぎ立てている悲愴
押し止(とど)めた衝動
動かせない表情
吐き出された心引き受けて
続く地下の呼吸
声を潜めて話す二人
他人の思考に強制侵入
漂う視線に浮かべる笑い
掴みきれない問いへと変わる
関わらないなら構うことない
自分の時間をやり過ごせばいい
何もないことが望まれているんだ
そこにいるのは他人
それぞれの思いで
それぞれを抱えて
言葉一つ交わすこともなく
続く地下の呼吸
僕も次の駅で降りて
狭い箱の外へ
吐き出された心くぐり抜け
僕の目指す場所へ