「宇宙みかん」

ピノキオP / 初音ミク (sm6678475)

***

いつまで
こうしているつもりなんだ
どうにかして
脱出を図りたがった

それはアルカトラズを
ゆうに超えた
夢のなかでも
あと少しだった

また目が覚めて
重力にうんざり
寝癖頭の私を
見下してくる 太陽

変わり映えしない日々
デジャブも飽き飽きで
自然破壊よりも先に
私が壊れそうよ

このまま地球にいるなんて
バカみたい

もう いっそ
宇宙で暮らそうよ
宇宙こたつに入って
宇宙みかん食べてさ

幾千の星たちと
肩を並べたら
呼吸も忘れるほどに
ふわふわと浮いていたいんだ

だけど私はただの人間だった
ちっぽけで頭も良くはなかった
悩みもよくある話ばっか
友達や家族が全てだった

SF映画の
主人公に憧れて
モノクロの現実に
少しだけ色が付く

いつか宇宙からの
招待状が届いて
連れて行ってくれることを
全信無疑 願うけど

私の住んでるこの星じゃ
ファンタジーみたい

宇宙で暮らすにあたっての
太陽系マニュアル
火星は寒いよ
木星でかいよ
金星ガスいよ
水星は意外と熱いよ
土星はわっかあぶないよ
太陽は調子に乗ってるよ
月は横顔冷たいよ
冥王星はどこへいったのだろう
地球は溜息でいっぱいだ

さあ みんな
宇宙で暮らそうよ
宇宙ジュースで乾杯して
宇宙肉を食らうんだ

ああ 宇宙へ
引越しをするその前に
宇宙ハボキをかけて
まずデブリをけちらすんだ

でも きっと
宇宙で暮らし慣れたら
無重力にも飽きて
地球が恋しくなるかな?

遠い地球の
蒼白く光る輝きに
つまらなかった毎日を
思い出し涙するんだ

やっぱり私はただの人間だった
宇宙に憧れる地球人だった
逃避は束の間の休息だった
これからも地球で生きる
そうなんだ

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