「鵺-nue-」

LIQ、かぎっこP / 初音ミク (sm9205601)

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飄々(ひょうひょう)と響き渡る
彼(あ)の声が私を苛(さいな)む
一つ二つ其の数を増し
此の魂を喰らわんとする

貌(かたち)を魅せぬ黒き煙
誰も見たことは無い
くらりくらり頭蓋の奥
塒(とぐろ)を巻いて

巻き上がる闇の焔に包まれて
ゆらゆら揺れる心に影落ちる
祷(いの)れども已(や)まぬ
不吉の声は未だ
私の頸(くび)を掴みて
堕ちろ堕ちろと囁く

未だ鳴り止まぬ哭(な)き声
其の矛(ほこ)の先を変えた
彼(あ)の人の魂(みたま)喰らわんと
気味の悪い声が群がる

姿も見えぬ闇の中
短き刃を持ち
私独り太刀向かう
其の物の怪に

幾許(いくばく)かの獣達を薙倒し
私は狩る彼(あ)の人を狙う物を
例え此の身を緋き血で染めようとも
其の命を守り抜く
其の手に擁(いだ)かれる迄(まで)

鬼さん此方(こちら)
手の鳴る方へ
暗闇に火の手が上がる

逝きは良い宵 戻れはしない
そう此処は
闇ノ京(へいあんきょう)

狩れども奴の姿は無く
屍ばかりが増え
然(しか)し私の手は止めぬ
狩り尽くす迄(まで)

幾つもの哭(な)き声達を斬り裂いて
ゆらゆらゆれる私を変えて行く
燃え上がる闇と嫉(ねた)みの衝動は
私の割れた心に影落とす

血に染まる今の私の其の姿
其の名は悪しき物の怪
闇に落つ「 」(ひとのこころ)

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