「猫とシュレーディンガー」

bibuko / 初音ミク (sm11238587、sm15040985)

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寒さに震える原子の核は
やがてばらばらに壊れて消える
ガイガー=ミュラーの円筒に
委ねられたのはわたしの命

腐りかけたオレンジの臭いが
わたしの存在を希薄に染めて
50%の境界線の上で生まれる
無限のパラドックス

わたしはここにいる?
それとも もういない?
2つの世界が暗いケージの中で
融け合って回る

わたしの名を呼んで
存在を証明して
醒めない眠りにつく前に
どうか ここから出してよ

複雑な数式の海の底で
この目に映るのは不確定な粒子
冷たく煙る藍色の気体は
わたしの咽喉を締め付ける

機械仕掛けの処刑台の傍で
広い空を仰ぐ夢を見る
思考の中でしか生きられぬ猫は
今日もまた 死にゆく運命(さだめ)

息が出来ないよ
身体が動かないよ
苦しさに咽(むせ)ぶ声は
冷たい枷に阻まれ消える

誰のために生まれ
何のために生きるの?
答えは見つからないまま
自我が壊されてゆく

世界はまるで大樹の根のように
無限に分かれてはずっと続いていくのに
わたしがわたしたる権利は
どうして永遠に半分のままなの?

声は枯れ尽きて
光は奪われて
薄紅色の炎がわたしの
身体を燃やして揺れる

無数の矛盾は
指摘されぬまま
60分の寿命が ただ
刻々と削られてく

わたしはここにいる?
それとも もういない?
2つの世界が暗いケージの中で
融け合って回る

わたしの名を呼んで
存在を証明して
醒めない眠りにつく前に
どうか ここから出してよ

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※リメイク前は削除されたので見られません。