「其れは独り辺に舞ふ」

島白(よだれP) / 初音ミク (sm12329030)

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ゆるりゆるり 歩む様に
追い縋る群雲
からりからり 燥(はしゃ)ぎ立てる
ガラクタの孤児(みなしご)

墨染めの夜(よ) 彩りの朝
羽織り継ぐ現蝉(うつせみ)
嫋(たお)やかな時雨(しぐれ)
窄(すぼ)む大地を 静かに撫で下ろす

葦の瀬に揺蕩(たゆた)う
嗄(か)れた那由多(なゆた)の常
独り 咎(とが)の穂に
舞いて 放つ

仇無く散る手向けに囁く

遥か空が溢れる 其の彼方に
指先合わせ 腕を攫う
陽炎の靡(なび)く元へ
遥か海が沸き立つ 其の彼方に
壱なる千の 螺旋描く
朝焼けの覚める場所へ

仇無く散る手向けに囁く
おかえり

靄然(あいぜん)と佇む
久方を見詰る さあ

慕う火群(ほむら)
灰燼(かいじん)を舞い躍らせる
艶やかに奏でる
頸露(あらはに)運ぶ謡(うた)よ

遥か空が渦巻く 此の彼方に
解(ほつ)れた連(れん)に
帳(とばり)降ろす
赫焉(かくえん)と揺らぐ月よ
やがて還る 流転の始(し)が在るなら
意義を与えて 織り成す迄
目交いを越えて祈る 唯

朧(おぼろ)に踊る
数多(あまた)の影に扇(あお)ぐ
天地(あまつち)を割り
隔てる物を忘れ さあ

解(ほつ)れた連(れん)に
帳(とばり)降ろす
赫焉(かくえん)と揺らぐ月よ

遥か空が溢れる 其の彼方に
指先合わせ 腕を攫う
陽炎の靡(なび)く元へ
還りなさい 産まれる其の姿に
壱なる千の 螺旋描く
朝焼けの覚める場所へ

仇無く散る 手向(たむ)けに囁く
包(くる)まう おかえり

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