「アザレアの亡霊」

トーマ / 初音ミク (sm19286279)

***

そう気高く濁した廃都市みたいな
この鉄塔を仰いだ街が ボク自身だった
潜める墓場と 負け犬ベンデッタ
その閑散な姿に 大停電が降った

味気ないくらい価値もない舞台
きっと愛もないだろう
半透明の蜃気楼 白昼に腐って
味気ないくらい誰も泣いてない
だって情もないだろう
ずっと歌を歌っていよう 退屈だろ

でもそんな殺風景に キミはいた

鈍色(にびいろ)の
廻り廻る感情は 重なり合った
この大都会の愛と哀を熱く絡ませ
キミを守る街は 光放った
ほらドドメ色の雨が降って
視界を塗り潰した
愛も知らないまま 汚れたまま

そう絞り上げては また吐き出した
平べったい言葉は 静寂を切った
奇っ怪な街と
堕胎、性、バルティーゴ
その劣等を孕(はら)んだボクは
恥辱に浸かったまま

そんな殺風景にキミが
送り込んだ幻想 照り付ける閃光
眩(くら)んだ原風景に 火を灯せ

今までの
混ざり混ざる現象は 切先になった
自己防衛に独占欲が淫らに溶けて
火花散りネジ巻き 群衆を駆けた
でも気付かれはしないまま
捻(ひね)くれたボクさ
愛も逆巻くほど 許されない

歪みだす心も こんな姿なら
キミも愛も崩れ去れば
鎖は解(ほど)かれるの?
ガイドラインの夜光虫に似た
街灯 誘う月光列車
湿(しめ)る世界から
キミ一人をはじき出せば
誰のものになるだろう
皮肉に咲いた街で

廻り廻る感情は 重なり合った
この大都会の愛と哀を熱く絡ませ
キミを守る街は 切なく尖った
まるでボクは振りかざす刃で
「誰か許してよ」
ってただ身勝手な 声響かせて
助からない生命線だって仕方がないって
キミを守る街に キミはいなくて
それならボクはこの街の
孤独な亡霊だ
愛も知らないまま 生き続けよう

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