「終点」
CosMo(暴走P) / 初音ミク (sm21552463)
***
「拝啓――
君は僕の眼の前に
突然現れ微笑んだ
僕の手をぐいと引っ張って
どこかへ向かって走り出した
悪い気分じゃなかった
疑うこともしなかった
きっと恋でもしていたのでしょう
過去の栄光はまばゆく光り
未来の可能性の芽を踏み潰す
僕はそれが怖くなって
いつからか君との距離を置いた
ありがとう そして
さよなら は
君が呟く惜別の言葉じゃない
臆病者の僕の君宛ての別れ
君はどうかそのままで
いてほしいんだ」
手紙の文字は他人行儀
そしてドライで
感傷も感慨も
当然ように湧かず
ドラマなんて期待しない
羽のように軽い記憶
当たり前に一緒にいて
当たり前にすれ違った
「輝く出口を作るんだ
大人たちはそう言い出した
未完成のままで放置された
架けた橋はやがて腐りだした
高く築き上げたものを
守ることだけ考えて
出口は扉堅く閉ざす
もう音楽は十分揃い
新しいものはいらないと叫ぶ
ベタな三文小説(ものがたり)を捨てた
冷たくて現実的な終点(おわり)
ありがとう そして
ごめんね は
君が呟く後悔の言葉じゃない
嘘つきの僕の乾いた懺悔
君はどうかそのままで
いてほしいんだ」
(私を覚えている?
あなたと私で未来を繋ぐ)
「終わらないお祭り声は遠く
感動はやがて薄れゆく
お面を深く被るお囃子に
有体に言えば――」
「<<手紙が破れていて読めなかった>>のです」
「ありがとう そして
さよなら は
君が呟く惜別の言葉じゃない
臆病者の僕の君宛ての別れ
君はどうかそのままで
いてほしいんだ」
「――幸せを願っています 敬具」
また会う日まで……